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岩松了氏翻訳・演出のチェーホフ劇のこと

 2008052501 チェーホフの戯曲や小説はロシア文学の中で一番好きでしたが、チェーホフの芝居を見に行くという機会には恵まれないままでした。

 学生のころキャンパスで少し顔を合わせたことのある1学年下の岩松了さんが、役者と劇作家になられ、日本のチェーホフと言われているのを知って、下北沢の本多劇場へ「水の戯れ」に見に行ったりしたのは、ちょうど10年位前のことでした。

 それから少し経って、岩松さんが、チェーホフの「かもめ」を自ら翻訳も手がけて上演すると知った時には、わざわざ訳までやらないで神西清さんの翻訳でいいのに・・・と思ったりもしました。

 ちょうどそんな時に、ロシア語同時通訳で著名な米原万里さんが、岩松さんのチェーホフ劇翻訳という無謀な挑戦への驚きをどこかの雑誌に率直に書かれていたのを目にし、余計にその上演は気になるところでした。 ロシア語学科で同じ学年だったお二人だけに、その実力のほどは十分理解し合っておられたでしょうから。

 シアターコクーンで1999年10月に上演された、岩松さんの手になる『かもめ』は、やっぱり本で読むのとはかなり違う感動がありました。
 文字から想像する舞台と実際の舞台とはかなり違っていたし、文字で受け止めていたセリフと役者が発するそれとは微妙に異なる新鮮な響きを感じました。
 
 そして、どこか気になっていた岩松さんの翻訳には全く違和感は無く、正直ほっとしたものです2008052502

 その2年後、同じ場所で、同じく岩松さん翻訳・演出の『三人姉妹』が上演されました。さすがにこの時は、翻訳のことは気にしないで岩松チェーホフの世界に浸ることができました。

 
 一昨年の12月に岩松さんとお会いする機会があり、今回のチェーホフ劇の翻訳のことを申し上げたところ、翻訳するにあたって神西清さんの訳本は相当意識していたと言うニュアンスのお話を聞き、神西さんの名訳の偉大さを改めて感じたことを思い出します。  (続く)

(チェーホフ関連はもうちょっと続きます)

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